湧き水の主
2011年5月某日。
男鹿水族館GAOの魚類担当、なまはげダイバーの一味と、
今年期待の新人なうにし君(←もちろん本名ではない)が某県某所に出かけました。
早朝5時53分って・・・
早いなあ。私はそのころ、まだ夢の中だよ。
確かこの日は、ジェンツーペンギンが卵を産んだ夢を見ていたよ。
この日は天気も良くて、
仕事とはいえ、絶好のドライブ日和だったことと思われます。
この日の目的地は、
ここ!!
この日2人は、ある淡水魚の採集のためこの場所にやってきました。
その「ある淡水魚」とは
この魚!
「イバラトミヨ」といいます。
イバラトミヨは湧き水など、水のきれいなところにしか生息していません。
今回のこの場所ももちろん湧き水のあるところなんです。
こういうところの・・・
ほらここ!!
なんとなく、ぽこぽこしてますよね?!
底から白い砂がぽこぽこしていますよね!
この池にはこのように水が沸いている場所が何箇所もあって、きれいな
水が常に沸いている状態なんです。
イバラトミヨだけではなく、いろいろな水生生物が暮らしています。
イバラトミヨは数が少なく、絶滅危惧種に指定されている魚です。
ここで保全活動をされている方から、今回は特別にイバラトミヨをいただくことが
できました。
いただいた数は数百匹。
GAOに到着したら、
すぐに広い水槽へ。
イバラトミヨはとても小さな魚です。扱いも慎重です。
イバラトミヨは、「えっ!魚なのに?!」という習性を持っています。
それは・・・
「巣」を作るんです!!!
写真中央の、真中のボールみたいなものが、イバラトミヨが作った「巣」なんです。
オスは繁殖期になると、水草の根などに水草の切れ端や葉っぱ等の植物の繊維質を
集め、自分の腎臓から特殊な粘液を出し、写真のように丸めて、巣を作ります。
巣の中はもちろん空洞になっていて、この中にメスを誘い、めでたくカップル成立!となると
メスは巣の中で卵を産みます。
GAOでは過去に卵を産んでくれたことはあったのですが、繁殖までには至りませんでした。
希少種イバラトミヨ。
いつか、GAOで繁殖した個体を自然に還すことができたらいいなと思っています。
そして自然の中でたくさんのイバラトミヨの泳ぐ姿を見たいです。
メダカも、昔は田んぼの用水路を泳いでいるのが当たり前でした。
しかし今ではその姿を見ることが難しくなってしまった生物が数多くいるんですよね。
水族館でしか見られない種類になってしまうのは、あまりにもさみしいこと。
水族館にいる生物だけでなく、自然の姿というのも大切にしていかなくてはいけません。
そしてそれを守る一環に、水族館も位置していなければいけないと思うのです。
長い道のりですが、その中でGAOが少しでも役に立てれば・・・と思い、イバラトミヨを見つめるのでした。
イバラトミヨは、2階の淡水魚コーナーに展示しています!