引っ越ししてくれました

3月31日、

一番最初に見たホッキョクグマユキ親子の姿が

 

 

これだった・・・

 

 

ユキっ子、母の足を枕に爆睡していました。

 

 

前回、「引っ越し依頼」でお話しましたが
27日より、ユキ親子と豪太の入れ替えを試みていました。

産室のある場所(ホッキョクグマ広場)には、展示場にプールがあるのみで
裏のスペース、今ユキ親子が移動できるエリアにはプールが
ありません。
豪太がいる方(ホッキョクグマ水槽)には、裏側にプールがあります。

詳しくは「引っ越し依頼」をご覧ください。

 

これまでの印象だと、ユキさんが意外と早く我が子を見せてくれたりと
わりとおおらかというか、こちらに対して強い警戒心を持って
いないように思っていたので、引っ越しもまあ時間がかかるにせよ
大丈夫だろうと思っていたのですが・・・

 

 

29日、頑としてホッキョクグマ水槽側に来ないユキさん。

このとき既に豪太は広場側に引っ越しています。親子から豪太の姿は見えません。

 

豪太が水槽側にいたときは、平気で上まで来ていたのですが・・・

 

 

あ、ユキっ子いた。

 

 

ユキっ子はたぶん動き回りたいのですが、ユキさんが許しません。
ちょっとでも離れると呼び戻します。
なのでユキっ子はユキさんの周りでごろんごろんしたり
ユキさんにかじりついたりしていました。

 

豪太のにおいとか存在が嫌ならば、

 

 

数日前にここまで来ないと思うのです。
(扉の向こうには何枚かオリを隔てて豪太がいます)

 

移動中、豪太の姿は2頭には見えないようにしましたが
匂いや気配はどうしてもわかってしまいます。

 

絶対こないから、とわたしたちが言ってもなあ・・・

 

豪太が一時的に接近したことで警戒心のスイッチがMaxになったのか。
それとも、今まで過ごした産室から離れるのが嫌なのか。

 

通路から引っ越し先の水槽側まですべて開放したので、いくら掃除したからと
いっても豪太の匂いが残っていることは承知です。

それがやはり気になるのか。

 

ユキさんが通路の階段の下にいても水やエサは与えることができていたのですが、
仔に授乳しているのは確認できていても
ユキさん自身の食欲が戻らないと
どうするべきか・・・

 

ユキが全く動かなければ、または食欲がない状態が続けば
もとの場所に戻すことも考えていました。

しかし元の場所に戻すと今度はいずれにせよプール問題です。

いきなり展示場の深いプールしかない場所に放つのか。
裏のスペースに仮プールを設置するか。
かなり頑丈なものでないと、あっという間にユキさんに
遊具にされてしまいますし、ひっくり返せるような
ふろおけみたいなのだったら。ユキっ子が中に入って
ひっくり返されたら閉じ込められちゃうかもしれない。

 

などと色々なことを考えました。

 

しかし幸い、時間が経ってくるとユキが次第に通路の上まで
あがってくるようになり、最終的には親子で入ってくれました。

 

親子で完全にホッキョクグマ水槽の裏の部屋に入って
くれたのが30日の14時すぎのことでした。

 

ありがとうございます・・・。。

 

その日はそっとしておき、31日の朝に入ってみた風景が

 

これ。

 

こちらのスペースにはわらを1か所に置いていたのですが、好きなように広げて2頭で寝ていました。

正直、ほっとした・・・どんどん好きにしてくださいませ。

 

 

わらで遊ぶユキっ子。

 

 

 

 

 

手前ユキさんの背中です。

 

引っ越し先でも授乳は確認できており、今日4月1日
ユキさんの食欲も戻りつつあるようですが、まだ完全に安心はできないかな・・・

ユキさんの警戒が完全にとければいいのですが・・・

 

野生下であればオスの気配を察したら、察した時点で
とにかく離れるのでしょうが、飼育下だと当然色々な制限が生じます。

 

当館でもホッキョクグマ飼育スペースは無限大にあるわけでは
ありませんので、何かが起こったとき、何を優先順位に置いて考えるか、
対応が迫られるわけです。(これはどの生物にもいえることですが)
難しいなあ・・・と、その度に思います。

こういったことは、どんな生き物担当者でもつらいと思います。
何かが起きた時、それがめでたいことでもそうでなくても
他の何かに負担を強いる可能性があるわけなので。
そのときの心情というか重さというかはなかなか
表すことができません。

それに比べたら、ある一場面を切り取って
写真と文字で報告することは
かかっている時間も短いし、カンタンだよなと思いました。
ほんの一瞬に思えてしまいますからね。

 

しかし当事者の感じた時間はものすごく長く重いです。

 

こちらがこうしてほしいと思って対応したことに対して
結果「こうなってほしい」の通りに動いてくれた豪太とユキと
ユキっ子に感謝です。

 

生き物様様です。

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