漂着生物報告2016~ミンククジラ
記録的な大寒波がこの週末
日本列島を包むと
ニュースで報じられていますが
GAO周辺は
比較的穏やかな天気でした。
雪も、ところどころ残っている程度です。
新聞にも掲載されていたので
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが
22日、男鹿市内の海岸にクジラが死んだ状態で漂着したということを
クジラ等の海棲哺乳類の研究機関「日本セトロジー研究会」の方から
教えていただきました。
セトロジー研究会って響き、覚えてる!という方はすばらしい!!
昨年の夏、GAOも参加してきちゃったよ~~という回が
あったんですよ。→http://www.gao-aqua.jp/blog/?p=16421
何でも4メートルほどのクジラだというので、
見に行ってきました!
以降は死んだ状態でのクジラの写真になりますので
苦手な方はご遠慮くださいね。
行ってみると、
岩場に
お腹を上にした状態で横たわっていました。
海が荒れていた時に打ち上げられたのかな。
種類は「ミンククジラ」というそうで、
人と比べると
けっこう大きいですね。
ミンククジラは大きくなると9~10メートル程度になる種類ということですので、
これはまだ若いメスとのことでした。
さてさて、クジラというと
ハクジラとヒゲクジラに分けられる、というのを知っていますか?
ハクジラのハは「歯」つまりはっきりとした歯を持つクジラ、
ヒゲクジラは歯を持たず、代わりに「ヒゲ板」というのを口の中に持っています。
こちらの
白くてふわふわしたこれがミンククジラの「ヒゲ板」なんです。
なぜこのようなヒゲ板を持つのかというと、ヒゲクジラは水中のプランクトン、釣り餌
等で知られているオキアミのように小さくて海中を泳いでいる生き物や小魚を食べます。
大量に食べるため、エサの生き物を水ごと飲み込み、エサのみを
口の中に残します。そのため、水だけを口から出さなくてはいけません。
そのときにこのヒゲにエサが引っかかるようになっているんですね。
エサを水ごと飲み込むので、口が膨らむように
このように
大きく膨らむようにノドのあたりにはヒダが何本かあって、ここが膨らんで
大量の水を一気に口の中に入れることができます。(ヒゲクジラの種類によっては
このヒダ状の構造が無い種もいます)
このあと、
体の一部を
研究用のサンプルとしていただきました。
ぶ厚い脂皮の下には真っ赤な筋肉が見えていました。
男鹿でクジラ?なんて印象かもしれませんが
これまでも秋田県内ではいくつか漂着例があり、ミンククジラも
多いわけではないですが数例あるそうです。
かなり前の話ですが、12メートルのクジラが漂着したときには
本当にびっくりしましたよ。
こんなおっきな生き物が、海の中を泳いでるんだって。
死んでしまっている個体でも、生息域や出産場所を割り出すことが
できる他、体の組織からわかることも多々あります。
ましてやこんな生き物が海を泳いでいたんだ、という事実を目の前にするだけで
なんだかぞっとします。
どういう経緯で死んでしまったかはわかりませんが
こうして男鹿の海岸にたどり着いてくれて、ありがとう。
海中の世界の一部を、見ることができたような気がします。