清水巡り

先日ですが
GAOから車で3時間ほどのところにある

千畑小学校(秋田県仙北郡美郷町)にお邪魔してきました。

千畑小学校では、この地域に生息している

「トミヨ属雄物型」という体長5㎝ほどの小さな淡水魚の保全活動を行っています。

この魚、きれいな湧水のある地域にのみ生息しており、秋田県では
「絶滅危惧種ⅠA類」に指定されています。

千畑小学校では地域の方々と一緒に
美郷の地域を守り学ぶ活動が数年前から
行なわれています。

GAOでもトミヨ属雄物型を展示しているのですが、
この魚はここを含めてもかなり限定された地域でしか
生息していませんので、展示用の個体を数匹いただいており、
展示・繁殖を続けることができています。

これまでの活動はこちら

その繋がりから彼らが本来生きている地域のことや
地元の方たちのことを教えてもらっています。

今回は5年生のみなさんが行く
近くの湧き水めぐりに同行させてもらいました!

説明しているのは、千畑小学校の初代の校長先生。

今は水環境の保全活動に必要な知識を持つ方が美郷町から認定される
「水環境マイスター」として活動されています。

ご覧くださいこの水のきれいさ!

あちらこちらでイトトンボが飛んでいました。

 

この写真、左が水田で
真ん中には整備された水路があり
右に(ちょっとわかりにくいのですが)コンクリートで整備されていない
水路が走っています。

真ん中の水路は農業用の水路で、画面右は湧水から流れている水路です。
農業用水路は湧水からの水路より低く設置されていて、かつ両方は
独立しており、これも湧水を守るためだそうです。
農薬を使わなくてはならない時、湧き水に混ざらないようにするため
だそうです。

 

水面に時々ぽこぽこっと泡が出てきていますが、これが地下から
水が湧いている証拠!

このような沼がいくつも点在しており、ここに
トミヨ属雄物型が生息しているのです。というか、こういう場所にしか
棲むことができない魚なのです。

周辺は本来の環境を守るため、ほとんど整備されていません。
今回の小学生たちも近所に住んでいるのにこんなところがあるなんて
知らなかった!と言っていました。

 

ここ最近はコロナ禍もあり、今年は猛暑もありで
かつ少子化等、色々と目まぐるしい変化が起きていますが

最近休みの日でも外で子供の姿を見かけなくなったと
先生が言っていました。

確かに外に行かなくても色々と楽しくて
たくさんの情報を知ることができるように
なりましたからね。

でもやっぱり、こうして外に出て
実物を見て
驚きとか楽しいとかそういうのを
共有することは外の世界に出ないと
体験できないんじゃないかな。

 

さて、清水を何か所か巡った後は

釣り?

釣りは釣りなんですが、狙いは

これ!アメリカザリガニです。

アメリカザリガニは今年の6月1日に「条件付特定外来生物」に指定されました。
条件付きとは何でしょう。

外来生物とは、もともとその地域にいないはずの生き物がヒトの活動の一環の中で
持ち込まれた生き物(植物も)をいい、中でも「特定外来生物」は、生態系やヒトの身体、
農林水産業に被害を与えるものとして、法で定められています。
飼育・保持することも原則として禁止されています。

「条件付き」とは一体何かというと、捕獲・飼育はしても良いよ、ということです。
今飼育している個体については終生飼育をすること、ということです。
もちろん放流はいけません。

美郷町の清水にもアメリカザリガニが生息しており、トミヨ属雄物型を捕食して
いることが問題となっていました。そのため、数年前から釣りでアメリカザリガニを
捕獲しています。そのアメリカザリガニは・・・GAOの生き物のエサとして
いただいていきます。

次から次へと釣れるのでしょう・・・と思われるかもしれませんが・・・

昨年は実は3匹、今年は4匹でした。
数年前は2ケタだったんですよ・・・。

これは駆除が少しずつ功を奏しているのか?とも思われるかもしれませんが
釣れるのは主にオス。
単純にメスが少なくなってきているのか、それとも
メスは他の場所にいただけという可能性もあるので、なんとも
いえませんが。
ここに本来生息しているトミヨ属雄物型の姿が増えてきたら
アメリカザリガニが減っていると言えるようになるかもしれません。

 

外来生物の話をする時にいつも難しいというか
違うなと思うことがあります。
「悪者」ではないけど悪者的な流れになっていくことです。

その地域にそもそもいなかった生き物を
連れてきたのはほとんどがヒトです。
そしてその連れてこられた生き物は、そこで生きようと
生きてきただけです。
ということはもちろんその地域のその生き物が
姿を消しつつある原因もほとんどがヒトです。
じゃあ本当の悪者ってわたしたちだねといつも思う。

 

トミヨ属雄物型がまた清水で穏やかに暮らせるように
アメリカザリガニを駆除しているわけですが
「悪者」という言葉は使われていませんでした。
なぜ持ち込まれたか、「ウシガエルのエサとして人間が
持ち込んだ」と生徒さんは答えていました。
歴史を知ることも大切な保全活動の一つだと思います。

 

釣れたアメリカザリガニ誰のエサにするの、と聞かれたので
ピラルクとかの大きな魚のエサにするよ、と言いました。
かわいそう、と女の子が言ったので
そうだね、でもみんなお肉とか食べるでしょ。
それとおんなじだから、ちゃんとピラルクにあげるからね。
と言いました。
こういう話するけど、いっつもすっきりしない。

 

女の子は
うん、こんどピラルク見にいくね!と言ってくれました。

 

 

その後スタッフ2名は

 

給食までいただいて帰ってきました。
この日のメニューはわかめご飯とハンバーグと野菜サラダと
お味噌汁でした。牛乳が美味しいやつでした。

 

なんで空なんだって?そりゃあお腹すいてたから
写真撮るの忘れたんですよ。自分でもびっくりしちゃったよ。
写真撮らないで食べてるじゃんって。

 

個人的にこの地域が好きなんです。
小さいころ、ここからあまり離れていない場所に住んでいたということも
あるかもしれませんが。

今はもう離れた場所で暮らしているので
全く関係ないかと考えてみたら、土地は繋がっているわけで
今自分が住んでいる場所がこの清水と何の関係も
無いわけがない。そう思うと
少しだけ意識が変わるような気もします。
ましてや大人になってこの地域の活動に参加できるとは。
もしかしたら、ずっと同じ場所に住んでいたら
むしろ知らなかったかもしれない。
不思議なものだなと思いました。

約2年、産休育休でお休みいただいておりましたが
再びこういうことに参加させていただけることを
本当に有難く思います。
体力の老化は否めないので即戦力にはならないことを
実感したのも確かですが・・・

 

というわけでこの日の活動は終了しました!
ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。

 

 

 

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