展示再開までの道のり
当館ホームページの「お知らせ」に記載されているように、
5月11日の夕方、サンゴ大水槽で突如、展示生物の突然死が
発生しました。
閉館間際の水槽掃除中の出来事で、魚が突然倒れて死んでいきました。
スタッフの目の前で、あまりに突然の出来事でした。
このままではどんどん死んでいってしまうと判断。見ているだけでは
何も変わりません。
その場でできる、最大限のこと。
まずは生物をサンゴ大水槽から違う水槽に移動させることにしました。
一刻を争う非常事態です。
水槽の水を最速で
抜きながら魚を取り上げます。小さな魚も多いため、どこか隙間に隠れてしまっているかも
しれません。
いつもの仕事が終わった他部署のみなさんも、表側から生物が取り残されていないか
探してくれました。
(今回のこの写真も、駆け付けてくれた方が「自分にできることはないか」と探し、
撮影してくれていたものです。後に重要な記録となります。)
生物の移動を終え、水槽を空にし、水槽内の徹底的な消毒を行いました。
しばらく裏の水槽に。
しかし、死んでしまった生き物は決して少ない数ではありませんでした。
この日は夜遅くまで作業が続きました。
裏の水槽に移動した魚達は翌日元気で、エサも食べていました。
失われた命もあることは忘れてはいけない事実ですが、今ある命に
感謝です。
さて、これから大切なのは「なぜそうなったのか」。
はっきり「これだ!」という確証はこの時点で(このブログを書いている時点でも)
つかめていませんが、いくつかの推測を上げることはできます。
おそらくこれが原因ではないか、と考えられる事象もあります。
あらゆる可能性を挙げ、それに見合った対処をすること。
そして同じことを繰り返さないこと。そのためにしなくてはいけないこと。
当時の水槽内の海水の検査や、死んでしまった魚の解剖で生物の死因を
つきとめること。
もしも突発的な病気ならば、病気の原因が残らないよう水槽内の消毒などなど・・・。
「魚たちを入れても大丈夫」という確証が持てるまで、サンゴ大水槽での生物の展示は
お休みさせていただきました。
数日を経て、
サンゴ大水槽に
再度、海水を入れ始めました!!
外の海水はまだ冷たいので、すぐに魚たちを入れるわけにはいきません。
海水の温度が上がったのも確かめ、かつ、再度水槽内の水の検査を行い、
5月17日、魚達を少しずつ水槽に戻しました!
人気者ハリセンボンも
戻ってきましたよ!
(なんか笑ってるように見えるんですよねえ)
ぼ~っと水槽を見ていると、
!
どうしたんですかニセゴイシウツボ君。
いつもはあんまり泳ぎまわらないのに、今日この日は
機嫌がいいのか…
サービス精神旺盛というか・・・
実際、海の中でこの大きさのウツボと鉢合わせしたら、さぞ怖いでしょう。(顔も)
うら~ん。。
普段、ウツボとナポレオンフィッシュを両方同時に全身とることなんて
ほとんどないのに、
こうして5月19日、サンゴ大水槽の展示は再開されました。
数日の間、たくさんの方にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
華やかなサンゴ大水槽、ぜひぜひ見にきてくださいね!!!
展示水槽において生物の突然死が発生したことはまぎれもない事実であると共に、
他の水槽でも起こる可能性があるわけです。
今生きている命もありますが、失われた命があることは忘れてはいけないこと。
このような事が起こると、必ず思うことがあります。
あのとき、自分たちの対処はあれでよかったのか。
できる限り最大限のことをしたのか。最善だったのか。
正しかったのか。
あとから、ああすればよかったこうすればよかったあれが悪かったと口で言うのは簡単です。
「後悔」というのは、後に悔むから後悔なわけですが、悔むことを口実にいつまでも立ち止まって
いていいわけではありません。
今生きている命があるんです。やらなきゃいけないことは無数にあるんです。
なんでも、後悔はしまくったほうがいいと思います。
後悔しない程度の出来事だったら、真剣に取り組んでいなかった証拠です。
ああすればよかったこうすればよかったあの時のあれが悪かったとばかり言って
いつまでも先に進まず動かないでいるのは本当の後悔ではありません。言い訳です。
後悔を山ほどして、原因を突き止め、事実を受け止めること。そして自分で動くこと。
少しずつでもいいから自分で動き、変えていくこと。
簡単そうに思えるかもしれませんが、そんなに簡単なことではありません。
つらい思いもしなくてはいけません。
ただ、それらを地道に乗り越えたとき、それまで知ることのなかった何かを
得ることができると思います。