ゴマフ保護しました。

「お知らせ」の記事にもありますが、3月28日
男鹿市の加茂青砂海岸で一頭のゴマフアザラシを保護しました。

前日の27日にも海岸にいたそうで、そのときは地元の方が海に帰して
くれました。
しかし翌28日、再び海岸にあがっており、しばらくしても海に帰る様子が
なく、変化がなかったため、水族館に連絡してくれました。

 海岸に
ぽつんと一頭・・・。

 考えてみれば、
野生のアザラシが、人間がこんなに近づいても動かないというのは普通じゃありませんよね。

 かなり衰弱している様子で、
体もとても痩せています。

 頭をもちあげる力はあるみたい。

 動物用ケージに入れて
水族館へ。

 こちら保護当日の様子。
顔だけを見ると、目はぱっちりしているのですが・・・

 体を見ると、
やせているのが目立ちます。骨が出ているのがわかります。
背骨もわかるくらいでした。
性別はオスでした。

ゴマフアザラシは、本来であればもっとまるまると太っていなくてはいけません!

体の大きさからして、おそらく今年、2月から3月の初めに誕生したのではないかと
考えられます。

ゴマフアザラシはだいたい2月から3月に出産します。
母親が仔にお乳をあげて子育てをするのは3週間程度しかありません。
また、ゴマフアザラシといえば白い毛でおおわれたかわいい赤ちゃんの姿が有名ですが
その白い毛は3週間から4週間ほどで抜けてしまい、下から大人と同じゴマ模様の毛が
あらわれるのです。

このアザラシは、母親と早くにはぐれてしまったのか、それともたまたま魚が獲れなくて、
痩せて偶然にもここにたどりついたのか・・・はっきりとしたことはわかりませんが、
いずれにせよ色々なことが重なって、ここに着いたのでしょう。

さてこのゴマフくん。
脱水しているとのこともあり、

水分補給をします。
「おさえつけてかわいそう」に見えるかもしれませんが、こうしないと体の中に直接水を入れることが
できません。
体力があれば自分でエサを食べることができますが、今はその体力もありません。
ましてや、人間が取り囲んでいる状態ですから、警戒度は最高でしょう。

痩せているということは脂肪も極端に少なくなっているということです。
ゴマフアザラシは厚い脂肪の層を持つことで寒さから身を守っているので、このアザラシに
とって今は外の海水温や気温は低いかもしれません。

まずは体力の回復です。


水分もそうですが、小さな魚や、三枚におろした魚を少しずつ与えます。
口に入れると、

 自分の力でごくん!!
中にはのどの奥まで無理やり押し込まないと飲み込まない場合もあるのですが、
このゴマフくんは口に入ったら自分で口を動かし、飲み込んでいきました!

 ちなみにこれは
今日(30日)の写真です。
なんとか元気になってほしいですね。

今は体力の回復を最優先に治療をしています。
保護されて、2日。
はっきり言って、まだなんとも言えない時間が続きます。

以前、キタオットセイを保護したことがありましたね。
残念ながら一か月後に天国へいってしまいましたが・・・

動物を保護すると、時間が経つのが本当に本当に遅く感じます。
保護して1日経過した、2日経過した、3日経過した・・・
まだ4日しか経ってないのか・・・等々。
保護から今の様子はどうだろうか、すこしは改善しているのだろうか、
それとも悪くなっているのだろうか・・・

もちろん、水族館にいる生物達に対しても
朝まず姿を見ないと安心できない!!と思いますし、ちょっとの違いで
「どこか具合悪いの??」と心配するのが常ですが。

しかし、保護された生物というのは、たいていが理由があっての保護です。
通常とは異なる理由が。
衰弱や病気、自分で活動できない理由があっての状態が一番最初に見る状況ですので
日々様子を見ている、水族館にいる動物とはやはり異なります。

本来であれば人間との接触の機会なんてほとんどゼロの、野生で生きる生物が
衰弱かはたまた別の理由かで人間のそばまでたまたま来てしまったのです。
「たまたま」いわばそれだけなのですが、本当であれば、私達との接触なんて全くなかったのです。

このゴマフアザラシを最初発見した地元の方は最初海に戻そうとし、その後も
様子を見ていてくれたそうです。
それが一番です。しかし、戻る体力は無かったのでしょう。

どうか元気になってほしいです。

秋田県内でも、アザラシの目撃情報というのはいくつかあるんですよ。
秋田市内の港のテトラポットの上で休んでいたという話や、河口付近での
目撃例、数日間にわたって姿を見せたアザラシも過去いますね。

ゴマフアザラシだけではなく、この冬は秋田県内でウミガメの保護が相次いだり
クジラの漂着もあったようです。

海にはたくさんの生き物がいるんですね。私達がただ知らないだけなのでしょうね。

この場を借りて、お願いがあります。
海岸付近でアザラシ、オットセイなど大型の動物を見つけた場合は
まずはそっとしておいてください。
元気であれば、彼らの本来の世界へ戻っていきます。
彼らにしてみれば、たまたま寄ってみただけかもしれませんから。
決して安易に手を出したりしないでくださいね。
生き物は自分の身を守ろうと攻撃的になる場合があります。

安易に近寄ったりせず、お互い正しい距離を保ちながら
平行して進んでいくことが
野生に生きる生物達と共に生きるには必要なことなんじゃないかなーと
個人的に思っています。

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